2002年06月18日

ワールドカップ2002

ワールドカップの視聴率がやはりすごい。ビデオリサーチのサッカー視聴率によると、日曜に行われた予選の日本vsロシア戦が 66%, 平日の日本 vs ベルギー戦でも 59% である(関東地区)。私も私の周りも会社のTVで見たり休みを取ったり早退したりしていたし、電車の混み具合・すき具合を見ていると、このすさまじい視聴率は実感としてわかる。
ドイツのキルヒグループが World Cup 放映権料を払いすぎたことが原因で倒産と報じられているが、やはりこれだけの視聴者を集められるコンテンツはそうそうほかにはない。ところが、試合中はCMは挿入されないし、ハーフタイムにインターネットアクセスが急増することが観測されていたりして(トイレにも行くだろうし)、高視聴率=金のなる木という図式が必ずしも当てはまっていないのではないかと思うが、どうだろうか?
ところで、インターネットサイトのアクセスがハーフタイムや試合直後に跳ね上がっているとのことである(例えばこちらの記事を参照)。ライブの試合はTVで、その他の情報収集はインターネットでという視聴スタイルができあがって来ているのではないだろうか?私の家族も、試合後は仲間内の掲示板(海外に在住の友達もアクセスするので現地の状況がリアルタイムに分かる)をみたり、しばらく後には nakata.net を見たりして、余韻を楽しんでいる。

そう考えると、むしろ試合直後にサッカー関係の情報サイトに時間限定のバナー広告でもうったほうが費用対効果は高そうである。この時間貸しバナー広告のアイディアは NYTimes で実際に行われているようで(NetRatings の萩原社長が紹介していた)、例えば9-10時頃の出社直後に NYTimes のサイトにアクセスする人は情報感度に優れたビジネスマンが多いだろうという読みを基にして、時間限定バナー広告枠を販売している。

もう一つ、今回のワールドカップにおいては、TVは他人と盛り上がるためのコミュニケーションツールとしての性格が強く出ていて、飲み屋やカフェ、あるいは公共の大スクリーン、はたまた会社のTVでみんなでみて楽しむ人が多かったようである。こうなるとTVも酒や携帯、電子メールと同じ位置づけのコミュニケーションツールであって、単に受身に視聴して試合そのものを楽しむというもの以上のものとなっていた。ライブ演奏の盛り上がり、宗教的儀式の陶酔感・一体感に近いものが、ついにTVのような一般的な映像メディアでも疑似体験できるようになってきたといえるのではないだろうか?

つぎの 2006 年のワールドカップはどのように視聴されるのか、それもまた楽しみである。

投稿者 hyotan : 11:26 | コメント (0)

2002年06月15日

メディアリテラシー

インターネット放送の主流のコンテンツはおそらくノン・フィクションになると思う。ドラマや映画などのフィクション物は製作に莫大なコストがかかるため(そのほとんどはタレント・俳優だが)、ナローキャスティングが主流になるであろうインターネット放送にとっては、ちと苦しそうである。ところで、ノンフィクションといえども事実と異なるメッセージを送ることは簡単である。
そこでメディアリテラシーが重要になってくる。と思って読んでみた岩波新書から出ている「メディア・リテラシー」(菅谷明子著)という本が大変面白かった。

日本では近年コンピュータリテラシーが注目されているが、本来それよりも先に来るべきメディアリテラシーというものにきちんと取り組んでいる教育機関は少ないだろう。これは、メディアの特徴を正しく理解し、送られてくるメッセージを鵜呑みにせず、主体的にメディアに関わる事ができるようにするための教育である。例えばTVニュースがどのように製作されるかを知り、ニューストピックがどのように選択されるか、同じニュースでも報道の仕方によって伝えられるメッセージがどのように変わるかを体験したりする。
メディアの中心がマスメディアであり、マスメディアを信じることがお上のいうことを信じることとある意味等価であった今までは、メディアリテラシー教育に国家が力を入れてこなかったのはもっともといえよう。ところが、今後インターネット放送も通常のTV放送も同じTV受像機で視聴できるようになると、受け手側の主体的判断というものが重要になる。放送法にあるのように不偏不党を義務付けたりチェックしたりする強制力が働かないため、映像メディアの世界も受け手側の自己責任が問われる時代になってくるのである。つまり、メディアリテラシーがないために、国にとっても不利益になるという状況が容易に生まれる得る。もちろん、賢い消費者であり、正しい民主主義の担い手であり続けるためにはメディアリテラシーは不可欠である。
この本は、メディアリテラシー教育先進国であるイギリス・カナダ・アメリカの取り組みを豊富な取材を元に紹介している。コミュニケーション能力をつけることが目的の国語教育の一環として教えられることが多いようだが、「世の中のコミュニケーションが圧倒的にビジュアル言語を通じて行われているのに、教育現場ではいまだに書き言葉・話し言葉偏重であるのはなぜか?」というある教授の問いかけが印象的であった。いまや、電子メールですら絵文字の多数入ったビジュアルコミュニケーションともいえる時代に、学校教育自体が追いついていないのである。

投稿者 hyotan : 11:27 | コメント (0)

2002年05月30日

ショートフィルム

最近、ショートフィルムが流行っている。ストリーミングにはショートフィルムが適しているなんて議論もされているが、本質的な話ではないと思う。現在はストリーミングを視聴する端末が「たまたま」PCであり、PCはそもそも動画を見るのに向いたつくりをしていないし、まだ画枠も小さい。そのため長時間視聴者が耐えられないためにやむなくショートフィルムが適するに過ぎない。ネットワークおよび端末環境が変われば、受身的にみる映像番組(能動的に見る番組は今後も少数派だろう)に関しては、CSやCATVなどの多チャンネルTVと差がなくなっていくだろう。
しかし、CMが進化したような形式の短編映像自体は今後ますます伸びていくと思う。理由は2つある。一つは、携帯端末(PDAや携帯電話)で隙間時間に見る映像が今後求められるからである。こちらは日経エレクトロニクス2002.5.20号の「「ケータイ動画」ってなんだ」の記事に詳しい。短編映像製作者の話も出ていて、この手の記事にしては珍しく面白かった。内容と情報を短時間に凝縮した映像作品はまだまだ発展の余地があるし、この忙しい世の中そのような映像作品が受け入れられる素地は十分にあると思う。まずは、どう切り刻んでも楽しめるアダルトから始まり、新技術を使ったコンテンツの典型的な普及パターンに即して広がっていくものと予想している。

私自身、先日MPEG4携帯ビデオを使うようになって、かなりTV番組を見る実質時間が増えた。今まではTVニュースなんかほとんど見なかったのだが、テレビ東京のWBSを録画しておいて朝の電車でざっとブラウズすることができるようになった。あとは、NHKスペシャルの短縮版ができれば、少しは仕事と関係のない世の中の動向にキャッチアップできるようになるとおもうのだが...
もう一つの理由として、映像は一覧性が悪いので、無限にチャンネルがあるインターネット放送環境下では、短い映像をきっかけとして本編をみるような視聴形態が普及するのではないかと考えられるためである。映画のトレーラ(予告篇)によって映画館に足を運ぶのと理屈は同じである。予告篇製作に関しては、最近光文社文庫から出た「映画は予告篇が面白い」という本が職人よりの話ではあるものの、知らない世界を垣間見れて面白かった。映画だけでなく他の映像分野に関しても、今後応用されていくのだと思う。

投稿者 hyotan : 11:28 | コメント (0)

2002年05月02日

The Economistの記事より

しばらくサボっていたので,ここ数日でたまってた話題を吐き出します.イギリスの経済雑誌 The Economist, Apr.13, 2002 の特集は TV 産業についてだった。その中からいくつかの面白い話をとりあげる.

平均的なアメリカ人は一日4時間TVを視聴し、それ以上の時間つけっぱなしにしている。ドイツ、イギリス,フランスでは一日平均3時間。MTVの視聴者の場合,インターネットによって食われた時間は睡眠,友達とのおしゃべりなどで、TV視聴時間にはあまり影響を与えなかった。

イギリスでBSkyB がインタラクティブTVから得た2001年の第2半期で得た収入91milポンドのうち、53%が賭け事からだった。フランスでも同じような傾向がみられる。
お金の取れるTVコンテンツは、賭け事、ゲーム,投票(Big Brother という有名な番組がある)。まあまあいけるのは、ニュースの選択,スポーツハイライトシーンの選択。全然だめなのは、物販,サッカーでお気に入りの一人の選手を追いつづけるようなもの。

TV番組のなかで、電話投票を促すと結構乗ってくる。イギリスで Pop Idol といういう視聴者が審査員になるテレビタレントコンテストを行ったとき,9mil 人の投票が行われた。前年度のイギリスの総選挙における若年層の総投票数より多い。

アメリカ世帯の 90% がビデオを持っているが,テレビの視聴時間中、録画したビデオを見ている時間は4% に過ぎない。これはビデオの予約操作が難しいこと、忘れることなどが理由。ビデオの主な用途はレンタルをみることで、そのためDVDにとって変わられつつある。PVRによって、視聴者がさまざまな番組に分散するのではなく,むしろみんながみている特定の番組をより多くの人が異なる時間に見るようになってきている。

アメリカでは過去10年間、CATVのチャンネルの増加による競争の激化にも関わらず,トップ10のケーブル局は変動しなかった。また、ネットワーク局(NBC,CBS, ABC, Fox, WB, UPN)にトップ10のケーブル局を加えると 90% の視聴率となり、この数字はここ数年変わっていない。そのため、弱小テレビ局やニッチ狙いのTV局は視聴者を集められず、トップ局以外が広告を集めることは困難で,経営が苦しい。

ドラマは最も制作にコストがかかる番組になっている。報道番組に比べて4倍程度かかる。しかし、アメリカ人は報道番組より4倍良く見る。

投稿者 hyotan : 11:29 | コメント (0)

2002年04月29日

AOL-TWの苦悩

最近の Wall Street Journal から.

AOLタイムワーナーが合併の効果を示すことができず,苦しんでいるようである。例えば,COOがブロードバンドサービスよりもダイヤルアップサービスを顧客に勧めるように社員に通達したり,AOLを再度分離したほうがいいのではないかという議論がおこったりしているようである。
AOL-TW に関しては,時代の先を行きすぎてしまっているのだと思う。日本に比べてADSLが電話網的に普及しにくく(元電話会社社員としていわせてもらうと、日本の電話網は品質が高い!),また電話の定額性がすでにあって価格に対して平均的な人が日本人よりも敏感な米国では,ブロードバンドの普及が予想よりも遅れており,日本よりもかなり遅れてきている。その結果,インターネットが文字メディア以上のメディアとしての進化に繋がっていないのが原因だと思う。
また,AOL-TWに限った話ではないが,多チャンネル放送を提供しているデジタルケーブルの契約率の伸びは鈍化傾向にあり,契約者の半数が解約しているという結果が紹介されている。人々の一日の時間は有限であり,TVはその中で十分な時間を消費してしまっている。今後,優れた映像メディアが仮にインターネットの上で実現できたとしても,ビジネスモデルの構築に当分悩まされることになるだろう.

投稿者 hyotan : 11:31 | コメント (0)

2002年04月10日

古本屋コンテンツ

ブロードバンドアソシエーション という団体のキックオフの説明に先日出席した.会自体の趣旨は「甘い」印象であまり興味がないが,参加者が実験している話は非常に面白かった。
その中から一つ,実験的に作成されている古本屋コンテンツはちょっと面白い.座談会資料の中の一番左上「上野松坂屋」のコンテンツ(2分程度)が特に面白い.
会合のとき話しに出たのだが,こういうのを扱う古本屋は対象の面白さを上手に話すことによってお客さんに売るので,店の人の語りが分かりやすくて面白い。この20個のコンテンツ(計約1時間)を撮影するのに、機材(VX-1000 とライトだけだそうで)設置を含めて1人で3時間程度で終わったとのこと.ニッチなコンテンツではあるが,魅力的である.

投稿者 hyotan : 11:32 | コメント (0)

2002年03月25日

コンテンツファンド

今日の日経から。NTTデータ系の映像コンテンツ企画製作会社エバーグリーンデジタルコンテンツ が映像コンテンツへの投資ファンドを設立するらしい.出資者には,航空会社,鉄道会社,ゼネコンなどが候補に上がっているということ.ぜひ一般からも投資を募るようになって欲しい。最近は,ハリウッドなどの映画ビジネスのファイナンシングの本を読み漁っているが(日本にはこの手の本がないらしいのでアメリカから取り寄せた),ギャンブル性が強く,契約もいろいろ怪しいというコンテンツビジネスの特殊な事情がかいまみえてくる.様々な形のリスク分散は不可欠だろう.

もう一つ,吉本興業が出資しているインターネット配信会社ファンダンゴが開設2年目で単年度黒字のめどがついたということ.私は吉本のお笑いは好きではないので内容の論評はできないが,さすが Content is the King! といったところか.やりようによってインターネットの映像配信事業でも儲かることが示されたのはいいことだ.もっとも,コンテンツの会費だけで収益が成り立つわけではないみたいだが.

投稿者 hyotan : 11:33 | コメント (0)

2002年03月16日

ミュージックセキュリティーズ

コンテンツファイナンスについて調べていたら,Music Securitiesというサービスを見つけた(前から知っていたが実際にサイトをみるのははじめて).これは音楽アーティストに対して,一般から投資を募ることで,制作費をまかない,売れた場合はリターンを投資家で分け合うことができるようなサイトである。純粋なファンとして投資をしたり,純粋に投資目的で証券を購入したりすることができる.インターネット放送では多数の名の知られていないクリエータがコンテンツを作成していくことになるだろうから,こういった枠組みは不可欠であると思う。

投稿者 hyotan : 11:33 | コメント (0)

2002年02月04日

ブラックジャック

日経を読んでいて,デジタル経済面で目を引いた記事が2つあった.<

一つは,「ブラックジャック」のフラッシュアニメ配信で半年間で延べ8万2000人の有料会員を集めたというもの。体験版をみるかぎり,非常に出来が良く,楽しめると思う。私も会員になろうと思ったが,宇多田ヒカルのピノコの声に余りにも違和感を感じて気持ち悪くて,やめてしまった。もっと合った声優だったらよかったのに.でも,Flash を使った映像はすばらしい.データ量も押さえてあり,ISDN程度でもかなり楽しめるはずである.こういった良いコンテンツが有料会員を集めてくれると未来は明るいと思う。

もう一つは,BSデジタルが番組枠を企業に丸ごと販売するというもの.新製品の開発ストーリなどをあまり宣伝色が強くならない範囲でドキュメンタリー番組のようにして作成するのをめざしているとのことである.そもそも,大量チャンネル時代になって,TV局が製作から配信まですべて面倒見るのは規模的に難しくなると思っていた。今後も製作に関しては,こういった形での枠丸投げのような形態が増えるはずで,例えばストリーミング放送などで有名になった番組がTVの世界でも放送されるなんて状況も生まれて来るのだと思う。

投稿者 hyotan : 11:34 | コメント (0)

2002年01月27日

MovieFlix

ものすごいサイトを見つけた.
MovieFlix
2000以上の映画をみることができる.さすがに最近のメジャーなものは見ることができないが,1940年代のドキュメンタリーなどであれば無料でみることができる.有料のものであっても,月額固定制(5ドル程度)である.Africa Speaks のように,古典の有名作品も無料でみることができて感激。Broadbandモードで200Kbpsでエンコードされているが,私の環境では End-to-End で平均 40Kbps 程度くらいしかでてないので,音声はクリアなものの,映像は紙芝居状態である。それでも,興味ある番組であればかなり楽しめる。

投稿者 hyotan : 11:35 | コメント (0)

2002年01月13日

ブロードバンドで学ぶ英語

「ブロードバンドで学ぶ英語」という本を見つけました。英語学習という観点から,インターネットラジオ局の詳しい解説をしています.数を並べるのではなく,良質のサイト(そのため,歴史あるTV・ラジオ放送局によるインターネット放送番組が中心)を紹介していて,非常に参考になりました。インターネット放送に興味のある人にとってもいいガイドになると思います。

投稿者 hyotan : 11:36 | コメント (0)