2003年06月30日
未来を感じるSTB
しぶいがちと気になった小物を。MediaWiz、紹介記事はこちら。要はMPEG1/2/4, DivXなどが見れるマルチCODECで安価なSTB。PCにソフトウェアをインストールすれば、小規模なVoDシステムが簡単にできてしまう。このストリーミングがどの程度ちゃんとできていて、インターネットでそこそこ配信できたりするのか不明だが、まあそのあたりは結構どうにかなる。そうすると、個人の情報発信をTVで視聴するような環境が結構簡単に作れてしまう。
もちろん、乗っているブラウザはおまけ程度らしいので、情報検索はどうするのかとかいろいろ細かい問題はある。でも、どうも Windows MediaなりRealといった商用のストリーミングがいまいち盛り上がりを欠く中、DivXという草の根CODECによるSTB環境が流行れば面白いことになるのではないだろうか。
2003年05月31日
電通総研のメディアに関するレポート
4月 に公表された電通総研の生活者・情報利用調査レポート2003 「i-Life:情報化社会に生きる」を読んで。
情報リテラシーの度合いによって、HH,MH,MM,Lの4つの層に分類し、それぞれにメディア性向を調べている。3年目のようなので多少時系列変化も読めるようになってきている。
・HH層やMH層のメディア接触時間は急減している。特に高リテラシー層のインターネット接触時間は急減している。私も、5年ほど前に比べて、訪問するサイト数(種類)は大幅に減ったし、受信するメールマガジン、メーリングリストも相当整理された。
・その半面、インターネットのために中長期的には減ると一般的に考えられているテレビ接触時間が、減るどころが若干増えている。これは、NHKなどの別の調査でも確認されている。
・テレビ性向とIT性向は相反するトレードオフの関係にあり、リテラシーが高まるほどテレビ性向は低下し、IT性向が上昇する。また、従来リテラシー度とメディア接触時間には相関関係があったが、最近高リテラシー層を中心に総メディア接触時間が減る現象がみられる。
・BS,CS,CATVといった多チャンネル放送は数年前の勢いが見えず、成長率が低下して成熟期に入りつつあるようである。DVD普及を背景にセルビデオは成長期である。それ以外のメディアは衰退期にある。
本文中に次のようなくだりがあるが、同感である。「コンテンツは時間消費型の商品であり、低価格化しても時間的制約がネックとなりその需要量が伸びるものではない。つまり、低価格品に需要が置き換わる代替性が低い。」、「情報メディアビジネスのジレンマは、高品質・高価値を目指して競争するが、これは情報利得感の飽和を早め、結果として情報接触量が減ってしまうことになっているのではないか。メディアビジネスは収穫逓増型と言われてきたが、これは内包する強い淘汰性を強者の立場から見ただけにすぎない。」
2003年05月01日
テレビ中毒に関する論文
日経サイエンス 2002. 6月号に面白い論文が出ていた。
Television Addiction R.Kubey, M.Csikszentmihalyi. Scientific American Feb.2002
要旨は,テレビをだらだらと長時間みてしまうのは、TVコンテンツの製作技法によるところが大きい。カット・編集・ズーム・パン・突然のノイズといったTVコンテンツの製作技法が人間の「定位反応」を引き起こし,これが誘引力となることが実験で確認された。定位反応とは進化の過程で獲得された、突然または新規な視聴覚刺激に対する本能的な反応である。
カット(シーン転換)の数が多いと、番組内容を良く覚えているという実験結果が紹介されている。ただし、カット数が2分間に10を超えると、効果は大幅に減少するようである。その他,定位刺激に伴う疲労感や虚脱感、テレビ中毒にならないための方法、テレビゲーム、インターネットに関する同様の反応などが紹介されている。
つまり,手をかけない(編集をしない)コンテンツというのは「つまらない」という我々がよく感じていることを、別の言葉でいっているとも言える。コンテンツ製作技法の重要性というのが、生物学的に示されたという点が面白い.
2003年04月14日
リアルネットワークス社
なんだかだいぶ前の発表の話で恐縮だが、RealNetworksの2002年度のAnnual Reportを聞いた(まだPDFは用意されていないようだ)。それによると、有料コンテンツ配信サービスである SuperPass がのびているようで、サブスクリプション収入が01年度では $28.2mil の収益だったのが02年度は $75.5milになった、総利益に対して、 2001 Q1 では22%だったのが、2002 Q4では49%と収入の柱となり、加入者数が02 Q1では50万人だったのがQ4 90万人、とのことである。
Windows Media の攻勢があり、RealNetworksは第2のNetscapeになってしまうかと思っていたが、この様子を見ると(まだ赤字は出しているものの)生き延びていけるのではないかなと感じている。なお、Spring 2003 に Starz on Demand で封切り直後の映画を提供していくこともアナウンスしており、今後の展開が楽しみである。
2003年03月24日
イラク戦争
ニュース配信社のロイターがREUTERS RAW VIDEO WAR IN THE GULFというのをWWWサイトで配信している。これは、簡単な編集をすませただけの生映像を、ナレーションなども加えずに提供するものである。通常のニュース配信はTVなどのマスメディアで行うものの、こういった別の角度からの報道というのは興味深い試みである。
ABCニュースも、職場視聴者をターゲットとした有料ニュース配信サービスを開始している(サイトはこちら)。これは、既に90万ユーザを獲得したという RealNetworks の有料配信サービスsuper passで視聴できる。
TVでの現地からの報道中継を見ても、MPEG系のブロックノイズが山ほど乗った、5fpsくらいしか出ていないきっと64kbpsくらいでとばしているんじゃないかと思えるような粗い映像が頻繁に使われている。湾岸戦争のときにCNNが名を馳せたが、今回はデジタル映像伝送の威力が全面に出てきているようである。
2003年03月09日
コンテンツに関するOPAリポート
アメリカのオンライン出版の業界団体Online Publishers Associationのレポートによれば、米国の2002年のオンラインコンテンツ市場は前年比100%の伸び率で、13億ドルに拡大したとのこと(ポルノ、ギャンブル、ソフトウェア購入を除く)。もっとも伸び率が高かったのはGreeting Cardと Personal/Dating (広い意味の出会い系)である。それまで一位であった
また、一見合理的に見える pay-per-viewよりも月極定額制のほうが支払いに対する抵抗感を感じる機会が少なくなるせいかビジネスにはのりやすいようで、全体の86%がsubscriptionである。
ドットコムバブル時代の悪しき風習でインターネットコンテンツ・サービスはただという風潮ができてしまったが、当然それでは持続的な成長は望めないので、時間をかけて市場を教育し負の遺産を払拭していくことになるのだろう。
2003年03月02日
インプレスTVのストリーム数
ストリーミング放送の草分け的存在として有名なimpress.tv の発表によれば、「放送の延べ視聴者数にあたる「インプレスTV」のストリーム数は、2000年11月開局当時は月間9万ストリームでしたが、2003年1月にはその20倍の月間185万ストリームを達成しており、半年ごとに倍々の勢いで伸張しています。」ということである。やはり、広帯域化の進展に伴い着実にインターネット放送の裾野が広がりつつあるのだろう。
2003年02月25日
圧縮技術とTV中継
イラク戦争が間近だと言われているが、ストリーミングの圧縮技術がテレビの報道にも使われるようになってきている。CNET News.com の記事 ABC News licenses On2 video technology。
On2 は On2 Technologiesが開発しているCODEC技術であり、デモを観たこともあるが数百Kbps程度のビットレートに対してかなり綺麗な映像を提供する。そういえば、アフガニスタンのときは satellite dish を頭に載せて64K程度で現場からテレビ電話で報道している人の写真とかあって結構笑ったが、今度はストリーミング生中継が放送電波に乗るようになってくるのであろう。ライブの映像を多数の人に配送するのはインターネット経由よりも放送波を使った方が効率がよいので、こういった放送とインターネット放送ならではの細かい報道やアーカイブ(オンデマンド配信)の組み合わせのような形で利用されるようになるのかも知れない。
2003年02月22日
著作権をめぐる業界間抗争
著作権保護の問題は、不景気になって、著作権問題も新旧産業間の抗争に変質しつつある。
Washington Post の記事より
「インテル本社で開かれたDigital Rightsの会合で、「著作権の広すぎる解釈はすべての人々を脅威にさらす、シリコンバレーの土台を揺るがすものである」との発言があったとき、賛成の声がこだました。DRMをめぐってシリコンバレーとハリウッドの間には大きな溝が存在する。」
Lessig教授の発言などが紹介されており、最後に「現在の(アメリカで主流の)遅いダイヤルアップ接続では人々はハードディスクにコンテンツを保存するという行動をとるが、高速接続になればストリーミングやサブスクリプションが主流となるだろう。現在のインターネットアーキテクチャを元に法制度を決めていくのは本質的におかしい」と述べている。高速になったからといって、人々の「モノをとっておきたい性分」というのはそうは変わらない気はするが、現在のアーキテクチャを元に法制度を決めていくのはおかしいというのは納得できる。ただでさえ時代に遅れて整備される法制度に対して、このような先見性を求めるのは酷というものであろうが。
2003年01月29日
P2Pを逆手にとるコンテンツプロモーション
P2Pによる不正流通によってコンテンツ屋は相当損害を被っているが、これを逆手にとるようなプロモーション方法がポルノ業界からでてきたとZDNetが報じている。要は、P2Pで人気のある(良く検索対象になる)ファイル名で引っかかるようにして有料のコンテンツを流してしまおうということだ。大量の有料コンテンツがP2Pの上に遍在するようになればP2Pユーザの目に触れやすくなる。そもそも、P2Pで探しているユーザは「見たい」欲求が強いので、お金を払ってくれる可能性も高いだろうという訳である。
考え方自体はいわゆる超流通だが、P2Pの検索を逆手にとってプロモーションをしようという発想が面白い。この方法、うまくやれば音楽などにも使えそうである。逆に言って、相互扶助(?)を目的としたP2Pにとっては非常にうっとおしい存在になりそうである。もしかしたらKaZaAやGnutellaのネットワークのような有名なP2Pネットワークにとっては致命的な打撃になるかも知れない。
2003年01月02日
Tim O'Reilly のコンテンツコピーに対する意見
有名なインターネット関連の技術出版社のオーナーでオープンソース運動の支持者である Tim O'Reilly による記事より。Piracy is Progressive Taxation, and Other Thoughts on the Evolution of Online Distribution
ほとんどのクリエータにとって、不正コピーされるよりも世の中の人に発見されないほうがよほど大きな問題である。毎日多数の新しい書籍・CDなどが出版され、そのほとんどは人目に触れずに消えていく。そのため、不正コピーをクリエータにとっての累進課税のようなプロモーションコストと思えばよい。それに、P2Pを元にCDを買うこともあるし、何より人々は可能であれば正しいこと(対価を払うこと)をしたいと思っている。実際、O'Reillyではそのような形で売り上げを伸ばしている。
不正コピーは万引きと比較されることがあるがこれは間違えである。万引きされると他の人の目にその作品が触れるチャンスがなくなってしまう。例として、ある書店でO'Reilly社のある書籍が店頭にないので理由を聞いたところ、在庫リストには1冊残っているので追加発注していないことになっており、どうも万引きされたらしい。これによって、多くの人に店頭でその本を手にしてもらう機会が失われた。不正コピーの場合は目に触れる機会が増えることはあれ、減ることはない。
(P2Pによる)ファイル交換は、現在の出版社・配給者への脅威となっても、出版自体への脅威とはならない。多数のコンテンツを多数の潜在顧客に提供するためには良い仲介者が必要だからである。現在のP2Pサービスは学生のように時間のある人にはいいかも知れないが、普通の人にとっては手間がかかりすぎ、信頼性が低い。これらに対して質の良いサービスを提供すれば、それに対してユーザは対価を払ってくれるはずだ。つまり、出版・配給の仕組みが変わればよい。
2003年01月01日
ストリーミングとダウンロード
新年に当たって(?)、冬休みに考えていることを。
インターネット放送が普及するためには、ストリーミングではだめな気がしてきた。ダウンロードを主軸に置かないと厳しいだろう。理由は次の通りである。
インターネット放送のコンテンツは、当面マス向けのものよりも特定層を狙ったものとなるであろう。普通のTVとは異なりむしろ雑誌に近い。すると、より多くの視聴者を獲得しなければならないが、そのためには「いつでも」みれる形態で提供すべきである。もちろん、オンラインであればストリーミングコンテンツはいつでも見れるわけだが、3G携帯も公衆WLAN(HotSpot)サービスもだめな現在、視聴者はほとんどの時間オフラインである(PHSはこの際考えない)。とすると、オフラインで見れる仕掛け、つまりダウンロード形式で提供しない限り見てもらうチャンスが少なくなってしまうんだと思う。