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2004年10月23日
本の紹介「テレビの嘘を見破る」
日本有数の制作会社テレビマンユニオンを立ち上げた著者による、ドキュメンタリーのやらせの問題について。単にやらせがいい悪いというのではなく、具体的な事例を基に自ら制作してきた人のみが語りえる自問自答が繰り返される。これは、工夫なのか、演出なのか、再現なのか、誇張なのか、歪曲なのか、捏造なのか?
予算も時間も制約されているなかで人々の印象に残るものを作らなければならない制作現場と、純朴な(=何も考えていない)一般視聴者の間に演出・やらせに関する感覚のギャップがあることをまず認める。その上で、何らかの演出がなされない映像はないことを、ドキュメンタリーの歴史を追って例証する。例えば、ドキュメンタリーとは、その生まれの定義によればreconstruction(再現)を持って事実を記録するモノという定義が1948年に世界ドキュメンタリー映画連名によってなされており、つまり再現(演技)による映像もドキュメンタリーとして(少なくとも作り手側からは)認められ広く用いられていた、など。
作り手側の視点からの論旨が中心であるため、見る側である自分とのずれは感じるが、それが新鮮であった。そしてこのずれを互いに認識して初めて、ありのままの事実を伝えるとはどういうことか?と論じることができる。
私自身、最近マイケルムーアの作品をいくつか見て、ドキュメンタリーとプロパガンダについて思いを巡らせてきた。正直、このような(私の定義では)プロパガンダ作品がパルムドールをなぜ取れたのかは腑に落ちなかったが、この本を読んで少し納得ができた。
真実を伝えるとはどういうことか?ということを観念論ではなく現場の人間の視点から考えさせられる。著者の意見に全面的に賛成できるものではないが、今後増えるであろう事実に基づいた映像メディア(ドキュメンタリーのみならず、バラエティ、リアリティショーなどを含む)について考えさせられるきっかけとなる本である。
投稿者 hyotan : 2004年10月23日 23:58